高尾山、日常と非日常の境界――、そこから先は奥山だ。東海自然歩道の入り口でもある。
薬王院の巨大な杉の並木を通り抜ければその先は霊界。植物たちにとっても、境界のチマタと言えるかもしれない。
東京の5~600mの山にブナが生きているというのには驚かされるが、繁茂する植物の種類の多さも目立つ。
暖帯系や温帯系の植物たちが、ここで出会い、しのぎを削っているのだ。
アラカシやウラジロカシ、カゴノキなどの常緑広葉樹やモミやスギなどの針葉樹たちに見つめられながら北に尾根をまたげば、
そこはイヌブナやブナ、カエデ類などの落葉広葉樹たちの森である。
たがいに交ざりあったその境界はあいまいで、さながら市のようだ。
イラスト・文:木部 一樹
※下の絵の

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※ここで描かれているのは高尾山で見られる代表的な樹木で構成された、いわば幻視の風景です。
Profile
木部 一樹(きべ かずき)
1956年青森県生まれ。20歳を過ぎたころ、北八ヶ岳白駒池の畔で野鳥に魅せられる。
野鳥や植物などの自然を描き、本、雑誌の挿絵の仕事をしながら、独学で野鳥のイラストに取り組む。
著書に『鳥の画帳』(東京新聞出版局)、共著に『日本野鳥紀行』(小学館)などがある。
高尾山へは野鳥の観察などでよく登る。